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5.グラインド

以前使っていたミル

珈琲を抽出するには豆を粉に挽かなければならない。そこで、コーヒーミルについて少し考えようと思う。
どういう粉が理想的な条件か。
まず粉の粒の大きさが均一で微粉はできるだけ少ないほうが良い。
粒が不ぞろいで大きい(粗すぎる挽き方)と抽出不足になり、微粉や小さすぎる粒(細かすぎる挽き方)では過度抽出となり、いずれにしても不味くなる。
ランブルには独自でミルの良否を判定する器具を置いている。14〜16メッシュ(1インチを14〜16等分)と、40〜50メッシュ(1インチを40〜50等分)のふるいである。
まず14〜16メッシュのふるいで全部の粉が下に落ちるくらいの大きさにミルを調節し、試料として100gを挽く。次に40〜50メッシュのふるいを使い、下に落ちた微粉が100g中にどれくらいあるかを計量する。このとき、微粉が少なければ少ないほど良いミルである。
ランブルで50年以上使っていたホバート社の歯をつけたミルはどの珈琲も微粉の量が10%以下であった。しかし、一般に売られている小型の電動ミルでは外国製品でさえ30%くらいの微粉が出る始末のものがあった。
珈琲ミルの理想的条件に近いのはグラニュレーターシステムなのだが、この装置は大量の珈琲を挽く工業用向けの膨大な機構でとても店舗に置いて使うわけにはいかない。ランブルでは5年ほど前に井上製作所の協力で溝歯車を組み合わせた低速回転のリードミルを開発し、ようやく粉の粒が均一で微粉がほとんど出ないミルを完成した。現在店舗で使用しているが、味の切れがよくお客様に大変喜ばれている。

リードミル リードミルの歯

余談になるが、「挽き売りコーナー」で珈琲を買ったお客様に珈琲豆を挽いてあげることは一見すると親切だと思われるかもしれないが、これは過剰サービスになる。挽いた珈琲を短期間で使い切る場合は問題はないが、一週間以上も経ってから珈琲を淹てたときには、酸化がすすんだとんでもない味になってしまう危険を含むことになる。これはいくら性能の良いミルで挽いたとしても同じである。それならいっそのこと金槌で砕いたものでも、淹てる直前に粉にしたものの方がいいということになる。
手挽きのミルでも擂り潰すのではなくカットのシャープな、微粉の出ないミルが一日も早く市場に出ることを期待している。

カットタイプのミルの歯 擂り潰すタイプのミルの歯
カットタイプのミルの歯 擂り潰すタイプのミルの歯